吉行淳之介を読んでいたら、面白いくだりに出くわした。白内障の手術の模様。目の手術だから、目を閉じてやるわけにはいかない。当然開きっぱなしだ。だから患者は自分の目の中にメスが入ってくるのを直視することとなる。
吉行の本とはこれ↓
はじめて知ったが、吉行淳之介は散人とほぼ同じ時に白内障の手術をしている。そのへんの描写が真に迫っており、散人の経験とまったく同じ。怖いものにちょっと興味のある人は読めばいいと思う。「こういう世界(自分の目の中にメスが入ってきてきれいな泡が立ったりする幻想的な世界)は手術をしている医者も経験したことがないだろう」と吉行は書いているが、そうなんです。あれはとても美しい。
目玉に局部麻酔の注射をやるのがちょっといやだったが、覚悟を決めて、まな板の鯉だ、切るなり殺すなりどうでもしろ、と開き直ると意外とどうと言うこともなかった。やっていることが全部見えるので安心感もある。
そ れにしても当時(80年代)は白内障患者に人工水晶体の埋め込み手術をする病院は、日本じゃごく少数だった。外国では一般的であったが、日本のエライ先生 達がダメだと言っていたので権威のある病院では逆に遅れた。こういうことは人工水晶体だけに限ったことであればいいのだが……。
吉行 淳之介
新潮社 1989-09
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はじめて知ったが、吉行淳之介は散人とほぼ同じ時に白内障の手術をしている。そのへんの描写が真に迫っており、散人の経験とまったく同じ。怖いものにちょっと興味のある人は読めばいいと思う。「こういう世界(自分の目の中にメスが入ってきてきれいな泡が立ったりする幻想的な世界)は手術をしている医者も経験したことがないだろう」と吉行は書いているが、そうなんです。あれはとても美しい。
目玉に局部麻酔の注射をやるのがちょっといやだったが、覚悟を決めて、まな板の鯉だ、切るなり殺すなりどうでもしろ、と開き直ると意外とどうと言うこともなかった。やっていることが全部見えるので安心感もある。
そ れにしても当時(80年代)は白内障患者に人工水晶体の埋め込み手術をする病院は、日本じゃごく少数だった。外国では一般的であったが、日本のエライ先生 達がダメだと言っていたので権威のある病院では逆に遅れた。こういうことは人工水晶体だけに限ったことであればいいのだが……。
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